9月16 日(水)金城武政さん「母に起きたことをもっと話そうと思う」 / カヌーチーム 運搬船の出港を1時間以上遅らせる

抗議参加者を迎えるゲート前のテントは長さ80mにもなる。そのほとんどが金城武政さん(63)が先頭になって組み立てたものだ。長年、東京でデザインや写植の仕事に携わっていたことから手先は器用。看板やプラスター造りなども頼まれ、これまで百枚以上描いてきた。

キャンプシュワブのある地元、辺野古で生まれ育つ。辺野古新基地問題が俎上に上がったころは、住民のほとんどが反対していた。が、政府の長年の懐柔・分断策で今では声を上げて反対する人は数えられるほどだけとなった。「みんな心の中では反対なんだよ。だけど今の区長が賛成している手前、言いにくくなっているだけ。各家庭に補償金1億円出るなんて話、信じ込んでいる人もいるし」

世代も変わった。賛成派からは疎く扱われ、嫌がらせもある。「おい、金城」と中学生からからかわれたことも。「悲しくなるね。賛成派の親が言わせてるんだ」。最近、仲間からこう言われるようになった。「武政、お母さんに起こったことをもっと話したほうがいいんじゃないか」。辺野古で大騒ぎだった金城家の事件、確かに知らない若者が多くなった。

事件は武政さんが17歳の時に起きた。バーを営んでいた母親、富子さんが開店前に忍び込んできた米兵にブロックで撲殺された。盗まれたのは店に置いてあった10㌦だけ。父は二階で三線を教えていて音に気付かなかったという。教室から呼び出され病院に駆け付けても、無残な姿となった母に会わせてもらうことはできなかった。犯人は隣町で捕まり米軍によって裁かれたが、すぐに釈放され本国に帰された。地位協定で米兵は守られ、日本の警察権は手が出せない時代だった。それは今もほとんど変わりない。

米軍基地を置くということはそういうことなんだ、と母の事件を重ねて痛感している。母のこともまじえ、基地が生む弊害をもっと周囲に話していこうと最近、武政さんは思い始めている。

 

(キャンプシュワブゲート前)

朝8時40分、約30人が基地に向かいシュプレヒコールを繰り返した後、ゲート前に座り込んだ。菅新首相の就任決定に、参加者からは「安倍政権の継続でしかない。なにも期待できない」「お金で沖縄を振り回し分断した政治家だ。安倍以上に冷酷に基地問題を進めるかもしれない」などといった厳しい批判が続いた。政権が変わろうとも新基地建設が続く限り、抗議の現場は変わらない。連なる搬入車両に向かい、この日も元気な声が飛び交った。生コン車など171台が資材を搬入した。

 

(琉球セメント安和桟橋前)

時より小雨が降る中、うるま市の島ぐるみメンバーら約20人が出入口で抗議を続けた。GoGoドライブのメンバーも5台で参加。海ではカヌーチーム9艇が桟橋下のネットにカヌーを縛り付け、運搬船の出港を阻止。全員が拘束されて浜に連れ戻されたが、1時間半近く辺野古への出港を遅らせた。ベルトコンベアーの故障で1時間近く作業が止まったが、運搬船3隻に773台分の土砂が積み込まれた。

 

(本部町塩川港)

本部町島ぐるみメンバー4人だけの抗議行動。警察の姿もない。暑さとダンプがまき散らす粉塵の中、幟り旗を掲げて一日中ダンプの前を歩くなどして抗議を続けた。ダンプ511台分の土砂が台船4隻に積み込まれた。

きょう現在までに搬出されたダンプの数と土砂量、全体との割合

これらの数値はあくまでもダンプの台数から推計した参考値です。

2018年12月から2019年12月末までのダンプの数は114,601台(全体との割合は1.39%)

  12日(土) 14日(月) 15日火) 16日(水) 17日(木) 18日(金)
安和 665 592 530 773    
塩川 0 510 512 511    

 

現在までのダンプの総数 土砂量 ※① 体積に換算 ※② 全体との割合 ※③
241,437台 1,207,185t 603,593 2.988%
※① ダンプ1台あたりの積載量を平均5トンとして計算
※② 土砂の比重を2と仮定し計算
※③ 計画されている全体の埋め立て土砂量(20,200,000㎥)に対する割合

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。