比嘉良子(73)さんが座る場所は決まっている。ゲート向かいの搬入ダンプが連なる北側。椅子を用意するのは夫の定正さん。抗議が始まれば、参加者の声や機動隊の足音、ダンプのエンジン音などに耳を澄まし、状況を探る。シュプレヒコールが始まれば真っ先に声を合わせる。
毎日のように夫婦でやってくる。目が不自由な良子さんの手を引きやってくる2人の姿はテントではすっかりお馴染みだ。「子や孫たちのために今頑張らないと、戦争になってしまうから」。良子さんは何度もこの言葉を口にした。
2歳の時、はしかで高熱になり視力を失った。「お母さんはわたしをおぶってお医者さんを探し回ったが、見つからなかったみたい。薬なんかなく医者もあまりいなかった時代だから…」
戦争から帰ってきた父親は荒れていた。幼心に刻まれているのはその父親と兄からの虐待だった。母がかばってくれたが、ただただじっと耐える日が続いた。「子どものころは苦しいことばかり。でも今はみんなやさしいからさみしくない。ここに来ると忘れることができる」
辺野古に住んでいた時に定正さんに求婚された。幼馴染みの定正さんは漁師。小さい時から良子さんに気をかけいっしょに遊んだという。幼いころの話に「夫はやさしいよ」と顔をほころばせた。
辺野古へ抗議に行こうと言い出したのは良子さんのほう。戦争が障害者を真っ先にのけ者扱いにするのは身をもって知っている。だからこそ、次世代のためにいま、自分も頑張ろうと思っている。
隣町・金武からの2人の往復バス代2360円は決して安くはない。それでも朝6時過ぎ、良子さんが声をかけ家を出る。「あいつは本物よ。琉球の魂が残っている」。少し離れ見守っていた定正さんはそう言って微笑んだ。
(キャンプシュワブゲート前)
気温30度近くにもなった暑い日。25人が座り込んだ。座り込みと同時に生コン車など50台近くが渋滞し国道をふさいだ。機動隊20人が出てきて市民に移動するよう促すが、粘り強く抵抗する人もいてゲートが開けられるまで10分近くがかかった。車両が基地内に入った後もゲート前をデモ行進。「防衛局は県の指示に従え」「海に生コンはいらない」などと声を上げた。
午前午後3回にわたり161台が資材を搬入した。この日、キャンプシュワブの米兵3人が新たに新型コロナウィルスに感染したことが明らかとなった。
(琉球セメント安和桟橋前)
約20人が出入口に分かれてダンプに向かい抗議を続けた。出口で指揮する機動隊H中隊長のいつもながらの強引な規制が際立った。10分近く人の通行を規制し、ダンプが出てくるのを優先させた。抗議すると「ここは人よりダンプが優先」という驚くべき言葉が返ってきた。道路交通法を知ってか知らずか、この中隊長の対応は常軌を逸している。何度も市民との間でいざこざか発生した。GoGoドライブメンバーも10台で動き回りダンプの運行を遅らせたが、午後、一車線通行止めしてメンバーを尋問するなど機動隊の異様な規制が目立った。
ダンプ778台分の土砂が運搬船4隻に積み込まれた。夜8時近くまで作業は続けられた。
(本部町塩川港)
天候不順で波が高いため、土砂積み込み作業はなし。
きょう現在までに搬出されたダンプの数と土砂量、全体との割合
これらの数値はあくまでもダンプの台数から推計した参考値です。
2018年12月から2019年12月末までのダンプの数は114,601台(全体との割合は1.39%)
31日(土) | 11月2日(月) | 3日(火) | 4日(水) | 5日(木) | 6日(金) | |
安和 | 756 | 778 | ||||
塩川 | 0 | 0 |
現在までのダンプの総数 | 土砂量※① | 体積に換算 ※② | 全体との割合 ※③ |
272,208台 | 1,361,040t | 680,520㎥ | 3.369 % |